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映 画

「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」「真夏の果実」のとっておき情報
(2025年5月25日10:00)
映画評論家・荒木久文氏が、「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」「真夏の果実」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、5月19日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 不可能なことがない荒木さん!よろしくお願いします。
荒木 不可能なことだらけですけど。今日は、まず不可能なことがないという。
~♬ミッションインポッシブル♬~
この曲からですね。
鈴木 出た(笑)!! うちのディレクターのけいちゃんが、この曲を1発目にって言ってたから、どうしても最初に触れてしまいました私(笑)。
荒木 そうですよね(笑)。今年最大の注目映画と言っていいでしょうね。
「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」。
トム・クルーズも来日したし、今週金曜日5月23日、日米同時公開ということで盛り上がってきました。先週、5月13日にIMAXの大スクリーンで関係者試写が開催されたんですよ。
鈴木 もしかして、荒木さん見て興奮したってことですよね。

荒木 リスナーの皆さんに張り切ってご紹介しようと思ってたんですが…見に行けなかったんですよ。
鈴木 なんで?!
荒木 どうしても義理と人情に関わることで行けなかったんですよ。インポッシブルだったんですよ。
鈴木 本当のインポッシブルって話じゃないですか、それ。
荒木 23日が公開なんですけど、実は17日から一部先行ロードショーしてるんですよね。だから、もう見たよーって言う方もいらっしゃるかもしれませんけど、逆に感想聞かせてください(笑)。
…と言うわけで、実際に見に行った関係者の話をもとにお話するというみっともない形になりますがお話します。
「ファイナル・レコニング」は前作の「デッド・レコニングPART ONE」とあわせて2部作として製作されています。前の作品のラストで世界の命運を握る鍵を手にしたイーサン・ハントと、その鍵によって導かれていくイーサンの運命が描かれると同時に、これまでほとんど語られてこなかったイーサンの過去が明かされるというものですね。
見てきた人の感想なんですけど、私と一緒に他の番組を担当しています東さんという人なんですが、「映画ソムリエ」という面白い肩書きのこの人は「結論から言うと最大級に面白かった!」と。
鈴木 最大級に面白かった!と。
荒木 はい。話が少し複雑なので可能な限り予習をしていくのがいいと言ってました。
鈴木 それは、第1作目から全部見ろってことじゃないですよね?
荒木 いや、前作を簡単に本だったり、WEBで見たりして行くのがいいって言ってましたね。
鈴木 前編を見ておけってことですよね?
荒木 そうですね。前編は軽く復習してあらすじくらいは辿っておけということだと思うんですよね。
鈴木 なるほど。
荒木 時間があれば、前作だけでなくシリーズ全体を振り返っておくともっと理解できますよとも。
鈴木 今回もトム・クルーズ走りまくるんだろうなあ、あの格好でー。
荒木 小型プロペラ機にしがみついてね。
鈴木 無理だ…。
荒木 無理だよねー。見どころ満載だということで。人のふんどしで相撲を取るようなことで申し訳ないんですけどそんな感じだそうですよ。
鈴木 タイトル変わったんですよね、最初から見てると。
荒木 そうですね、変わってますね。
出演者・スタッフは、イーサン・ハント役のトム・クルーズ、ベンジー役のサイモン・ペッグ、監督がクリストファー・マッカリーということで、プロ達が作ってますの、私の下手な解説・紹介を聞くより、実際に行って楽しんで見てくださいということなんですが、より楽しむ為には予習が復習なんで、少しでも前のストーリーをどこかで入れて行くのが、2、3倍楽しめるコツだと思います。
鈴木 「ミッション:インポッシブル」って、これで終わりなのかな?
荒木 終わりみたいですね。トム、もう歳だしね、60過ぎてるしね。身体キツイでしょう。
鈴木 もうね、飛行機とかヘリコプターとか掴まってる場合じゃないんですよ。落ちちゃいますよ。
荒木 ですよね。…ということで23日から公開です。
さて もう1本ですね、ちっちゃな作品なんですけど「真夏の果実」と言うタイトル。

鈴木 山梨のだ、来た来た。
荒木 ご存じですか?一昨日から公開中なんですけど。オール山梨ロケなんですよね。ところが山梨県内で公開されてなくて、見たい人は新宿のKsシネマまで行ってもらわなければいけないんですね。
鈴木 ちょっとー(笑)。
荒木 本当にね、地元映画こそ山梨でやっていきたいんですけどね。
舞台は山梨県勝沼、笛吹のあたりが中心ですかね。
ストーリーです。ぶどう農家を営む龍馬さんとあゆみさんの若い夫婦。このふたりが、親から受け継いだ農園でブドウを育ててきましたが、冬の時期になると夫は仕事をあゆみさんに任せて東京へ行って、タクシー運転手として働いています。
その間、あゆみさんはお姑さんと二人で地味に暮らしてるんですけど。時々、パートに行ったりしています。子供もいないあゆみさんは寂しくて、たまに旦那さんに電話するんですけど、忙しいのかぶっきらぼうに切られてしまうような日々を過ごしています。
そんなある日、夫の龍馬さんは東京で中学生の時に思いを寄せていた幼なじみの女性と偶然再会してですね。
鈴木 うわー!不穏な匂い…。
荒木 そう!綺麗になった彼女を前に浮き足立ってしまうんですね。
奥さんもいないしね、ちょっとした胸騒ぎです。
鈴木 そうですよ!
荒木 一方、妻のあゆみさんもお店に出入りする年下の営業マン君と急接近して、夫が留守と言うこともあって、やがて皆さんの想像通りに…面倒くさいことになっていきます。さあふたりはどうなるか?ということなんですけど。殺人とか、犯罪とか大きな事件が起こるわけじゃなくて。
鈴木 サスペンス要素はないんですか?
荒木 全然ないです。
鈴木 全然、ない!(笑)。
荒木 はい。私たちの身近にももしかしたら起きそうな小さな出来事を巡って、ちょっとした騒動みたいなものを描いています。
基本ラブストーリーなんですが、実際にありそうな出来事をユーモラスでちょっと大げさな描写で、昭和っぽい感じね。出演はあゆみ役にグラビアやレースクイーンだとか、バラエティ番組で活躍中のあべみほさんです。夫役は奥野瑛太さんという役者さんなんですが、名前はわからなくても、顔見ればああこの人ってわかる濃い顔の人です。いろいろな映画やテレビに出てますね。他にも、仁科亜季子さんや東千鶴さんなんかも出演しています。ストーリーは、今言ったようにありそうな話が現実とフィクションの間でリアリティを醸し出すっていうんですけども、監督はいまおかしんじさんという人なんですね。
鈴木 いまおかしんじさん。
荒木 実は私、この作品の監督いまおかしんじさんを紹介したくて、この作品を選んだと言っても過言じゃないんです。
鈴木 荒木さんがお好きな監督ってことですか?
荒木 そうなんですよ。監督いまおかしんじさん大好きでちょっと喋ってみたいと思っています。業界の方以外に知らない人多いでしょう。名前聞いたことないよね?この人大阪生まれなんですね、1965年。ピンク映画いわゆるエロ映画の出身なんです。
鈴木 今、多いですよね。
荒木 そう。助監督としてキャリアを積んでピンク映画界では、ピンク七福神と呼ばれているんです。
鈴木 えー!凄いんだー。
荒木 そうなんです、巨匠なんですよ。1995年に映画監督デビューして有名なのは2020年に震災で子を亡くした夫婦の物語『れいこいるか』で、その年の映画芸術の日本映画ベストテンで第1位を取った人なんですね。
鈴木 凄いなー。
荒木 涙と笑いの入り混じったお話でしたけどね。近年は脚本も書くんですけど、『銀平町シネマブルース』とか『まなみ100%』とか、ちょっと僕も紹介したことあると思うんですけど。
鈴木 聞いたことがあるのが、いくつかありました。
荒木 『愛のぬくもり』とか、『苦役列車』なんかもね。特に2024年の映画、アニメですけど『化け猫あんずちゃん』という子ども向けの映画の脚本を担当して、カンヌ国際映画祭「監督週間」で公式上映されたんです。
鈴木 ジャンル、幅広いですね。
荒木 そうなんですよ。特徴としては幅広いんですよ。ピンク映画から子ども向けアニメまでジャンルを選ばないんです。その上 多作なんですね。1995年のデビュー以来、120本以上作ってるっていう。で、監督ばかりじゃなくて脚本家でもあったりで俳優もやってるんですよ。
鈴木 まさしく映画人ですね。
荒木 そうですね。そのせいか、男女の切ない切なる表現とか本当に上手いです。ちょっとした会話だとか表情、心の奥の動きを映像として表すのがとても上手い監督ですね。彼の作品に共通するのがやさしい視線とユーモア。どこにでも可笑しさがあるんですよね。そういういまおか作品というのは、是非この時代は必要かなと思うんで。私が好きなせいでそういうことを言ってるんですけど。ダイちゃんも含めいまおかしんじと言っても聞いたことないと思いますけど、名前覚えておくと2,3年で、あちこちで聞くようになると思います。今やメジャーになった城定秀夫さんとかね。
鈴木 ああいうパターンで、みんなが知るということですね。
荒木 そうですね。次の作品は、6月27日公開の「となりの宇宙人」という作品の脚本担当です。この作品はSf界の大御所、伝説の作家と言われた半村良の作品なんです。監督自身も出演もしていますので是非見ていただきたいと思います。
鈴木 なるほど!荒木さん 推してますね。
荒木 はい。紹介したのはオール山梨ロケですが新宿まで見に行っていただかなきゃいけない(笑)。「真夏の果実」という作品でした。
鈴木 わかりました(笑)、もうー。
荒木 もう1本いけるかな。別なことで話題になっちゃてる永野芽郁主演の作品「かくかくしかじか」です。
鈴木 ああ、みなさん知ってますね。
荒木 あまり触れるといけないけど。人気漫画家・東村アキコさんの自伝的作品として多くのマンガ賞を受賞した「かくかくしかじか」を実写映画化したものなんです。 漫画家を目指す少女と恩師である絵画教師との9年間のドラマを描いています。一般に美術教師というとちょっと長髪で、もしかしたらベレー帽をかぶっちゃってるちょっとインテリで物静かな、いわゆる芸術家肌の先生を思いだしますよね。ところが人気漫画家・東村アキコさんが通うようになった絵画教室の先生は、ジャージーにチリチリあたま、竹刀を片手にでかい声で怒号を飛ばす、スパルタ絵画教師です。
鈴木 ちょっとー(笑)、そういう絵画の先生いる?
荒木 いないよねー。人の話を聞かないもろクソ親父タイプだけど。この映画はそんな美術好きの女の子と一風変わった絵画教室のスパルタ教師の、日高先生とおっしゃるんですけどね、その9年間を描く、涙のシーンと笑いのシーンがかわるがわるやって来るドラマです。大泉洋さんが日高先生役をやってるんで。
鈴木 ああー!なるほどなるほど。
荒木 みなさんご存知だと思うんですけど、考えただけで面白いですけどね、日高先生。「かくかくしかじか」現在公開中なんで、こちらも非常に面白いんで見ていただきたいと思います。
鈴木 ということでかくかくしかじか、ありがとうございました。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。