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映 画

アラキンのムービー・ワンダーランド/「シャーク・ド・フランス」「MEG ザ・モンスターズ2」などのとっておき情報
(2023年8月22日9:00)
映画評論家・荒木久文氏が「シャーク・ド・フランス」「MEG ザ・モンスターズ2」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、8月14日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したもの。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 お盆ですね。この時期の映画…お化けとか、ホラーともうひとつ、
ダイちゃんも好きだと思うんですけど、サメです。
鈴木 出た!スリル スリルですね。

荒木 大好物だと思いますけど、今年もこの時期のサメの映画を、まずお送りしますね。8月11日から公開、これはちょっと珍しいフランスのサメ映画です。
その名も「シャーク・ド・フランス」という、タイトルまでちょっとオシャレといえばオシャレですが(笑)。舞台はフランス南西部にある海のリゾート地ラ・ポワントというところです。有名なところです。男が正体不明の怪物に襲われて、ビーチは大パニックになってですね、封鎖されることになります。女性海上警察官というのがいるんですが、マジャさんと言うんですけど、これはサメの仕業であると考えて、サメ退治に挑むんです。勇敢な彼女はサメの捕獲に成功します。地元民から感謝されるんですが、なんとサメが逃げ出してしまって新たな犠牲者が出ます。一転して非難を浴びることになったマジャさんは、再びサメ退治に海に向かう…というお話なんですが…。
ストーリー自体は、サメ映画の経典と言えるべき「ジョーズ」にオマージュ、というかほぼほぼそのまんまですね。フランス映画史上初のサメ映画と言われているんですね。
鈴木 えー!そうなんですか?
荒木 大体、ほらフランスの海、リゾート地、地中海…、サメってあんまり…、ねえ?
鈴木 そうだよね。
荒木 ところがほら、あの例の地球温暖化というやつですよ。ちゃんと気候変動的なものとか、サメをむやみやたらに殺さないというかですね。
鈴木 織り込んでるっていうか、織り交ぜるって言うか…。さすが、さすが…。
荒木 今風なのか、フランス風なのか、さすがですよね。いろんな皮肉とかエスプリ効いてますね。とにかく、サメのひりひりするような怖さだとかですね、いきなりびっくり牙を剥き出させるというのは、あまりありません。
鈴木 え?ありませんの?
荒木 うーん、ちょっと残酷な部分もありますけど、他の映画に比べると、比較的おさえめですね。
鈴木 じゃあ、ショックムービーじゃないってことですか?
荒木 というよりも、通常のサメ映画とは違って、本当に怖いのは、サメより人間なんじゃないの?というね。
どこかユーモラスなちょっと変わった雰囲気のサメ映画です。「シャーク・ド・フランス」ま、サメ映画には違いありませんが・・・。
そして、そのサメ映画、この夏、文字通り最大のサメ映画が、8月25日から公開の「MEG ザ・モンスターズ2」という作品です。

鈴木 「MEG ザ・モンスターズ2」!!!
荒木 はい。これは2018年のアメリカ合衆国・中国合作の映画『MEG ザ・モンスター』の続編です。ジェイソン・ステイサムの主演で、200万年前に絶滅したはずの巨大ザメ、メガロドンの恐怖を描いた海洋パニックなんですけど。
鈴木 最高!最高!
荒木 第2弾ですね。潜水レスキューのプロである、ジェイソン・ステイサムが、世界でもっとも深いマリアナ海溝へと潜って、人類未踏の約10キロの深海へと潜るわけです。そこで生命反応を探知して、恐怖の生物を目覚めさせてしまうというお話です。
鈴木 おー!!
荒木 それが巨大ザメで、さらにほかの巨大生物たちも中国のビーチに上がってきて、人間を食いまくるというお話です…以上です。
鈴木 はい?? 見どころとか、話題のシーンとか話さないの?
荒木 ですよね…。ところがね、映画会社からのお達しで、観たということは言ってもいいんだけど、感想とか、その他は、18日まで言っちゃだめよと。
鈴木 出た!そのパターンですか。
荒木 そのパターンなんですよ。だから、ちょっと言いたいんだけど…、癪に障るよね、シャークに障るよね…。ジョーズに言えばいいんだけど、サメた言い方しか出来ません。凄いね、フカ深いでしょ!
鈴木 上手いね! イヤ、深いっていうか、10キロ以上潜ってるから。これじゃ、荒木さんみたいな専門家が観てお話する意味がないじゃないですか…。
荒木 そうなんですよ。ま、そういう宣伝戦略なんで仕方ないんです。とにかくサメ、でかい!バスの3台分くらいかな?サメってどちらかというと、シャープでしょ?
鈴木 うん、わかる。とんがり系。
荒木 ところがね、デブっていうかね、マグロ体形、丸々してるんですよ。
鈴木 太いんだ、クジラみたいな体形…。
荒木 そうそう、クジラを丸くした感じ。もうわけのわからない古代生物や、8本足の怪物とかね…、アッ言っちゃいけないんだ、すいません。…ということで。
見ると、海には危険な生物がいっぱいいるんだなぁと思って、海に行きたくなくなる作品です(笑)。
鈴木 えー?それだけですか?これ。
荒木 すいません。…ということなんですよ。「MEG ザ・モンスターズ2」という作品でした。
鈴木 タイトルとジェイソン・ステイサムしか、聞いた気がしないなー。

荒木 はい。それだけでいいです。あとは行ってください(笑)・・・ということで、8月18日公開の話題作、もう1本ご紹介します。「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」。
鬼の才能、鬼才と呼ばれる監督は何人もいますよね。私はこの人が文字通りの鬼才だと思うんですけど、デビッド・クローネンバーグ。名前聞いたことあると思うんですが、80歳です。
彼の新作です。「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」は、基本SFです。
舞台はそう遠くない未来。環境に適応するために人類は進化し続けて、体の構造が変わってしまいます。痛みという感覚が消えちゃうんです。これは、良いことなのか悪いことなのか…多分、悪いことなんだと思いますけど。その中の主人公ソールという男の人なんですけど、体の中で新たな臓器が生まれてくるという病気になってしまいます。
この人は、その臓器にタトゥーを入れて摘出するというショーで、注目と人気を集めていたんです。そんな彼のもとに、生前プラスチックを食べていたという遺体が持ち込まれます。…というこれだけ聞いて、何のことか、さっぱりわからないですよね。
鈴木 うん、全然わかんないよ。
荒木 (笑)全然わかんないよね。と共に、わぁー⁉っていう人いるでしょうね。臓器にタトゥーってなんなのよっていうね。そこがクローネンバーグのクロ―ネンバーグたる所以なんですよ。それが盛り込まれた作品の面白さなんですねー。
鈴木 ねーって言われても…。
荒木 持ち味なんです。名前聞いたことあるでしょ?
鈴木 「クラッシュ」とか「誘う女」もそうでしたよね?
荒木 そうでしたね。「ビデオドローム」とかね。この人はボディホラーの第一人者でした。ボディ・ホラーというのは生物学的ホラーともいうんですが、人間の体の構造を意図的に示す、もっと超簡単に言うと、足がとんでもない方向を向いたり、首がねじれて一回転半してしますというようなグロテスクなホラーのジャンルなんです。
最初のころ、デビッド・クローネンバーグはこの分野の第一人者だったんです。で、コアなファンがたくさんいたんですけど、しばらくこの路線控えてたんですけど、今回の「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」はちょっとこの路線に戻ったような雰囲気もあります。
鈴木 おっとー!
荒木 出演はビヴィゴ・モーテンセンとか、あの、ダイちゃん好きなレア・セドゥ。
鈴木 レア・セドゥ、大好きですねー。
荒木 レア・セドゥは、また全裸になってました。ここでも。
鈴木 えっ!それだけでも、観に行かないとですねー。
荒木 全裸になり過ぎですね、最近ね。でね、ホント、好きな人と苦手な人にハッキリ分かれます。ある意味感覚で見る映画と言えるかもしれませんね。ストーリーはしっかり観ないとわからないし、もう一回観ないとわかんないかもしんないし。何となく気持ちで観る、奇々怪々な作品です。
鈴木 SFですか?
荒木 SFです。SFホラーって言ったらいいのかな。ここまでお話して、聞いた方はですね、名前聞いたけど観たことないよという方は、ハマるかもしれないチャンスですよね。
鈴木 ああー、なーるほど。
荒木 チケット頂いてますので、今まで私とダイちゃんの話で、行きたいという方は是非行ってみてください。2組4名 に差し上げます。
鈴木 (笑)ありがとうございます。
荒木 鬼才の鬼才たる所以をじっくり観ていただきたいと思います。
鈴木 わかりました。ありがとうございます。
荒木 8月18日から公開の「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」でした。
最後はアラキンのおバカ映画紹介第3弾です。「マッド・ハイジ」「キラー・コンドーム」とやってきましたけど、今回はタイトルからしてこれはおバカ映画だな、面白映画だなと分かります。タイトルは、「野球どアホウ未亡人」。

鈴木 「野球どアホウ未亡人」? なんかそれ、B級どころか、C級のポルノ映画みたいじゃないの。
荒木 あはははは。わけわかんないよね。8月19日から公開です。昭和のスポ根・野球漫画とポルノ映画のエッセンスをかけあわせた、異色でカオスな野球映画です。
鈴木 やっぱりポルノの匂いがあるわ。
荒木 そうですよね、未亡人でね。
ストーリーは、夫が亡くなり、悲しみに暮れる奈津子さんと言う未亡人。夫がやっていた草野球チームの監督に野球の才能を見いだされ、夫の残した借金を返済するため草野球のピッチャーを務めることになったんです。で、彼女は、激しい特訓を重ねるうちに、次第に野球に快感を覚えていく…という。
これ自体よくわからないでしょう?
鈴木 あはははは。全然わからない。
荒木 ま…なんといいましょうか、巨人の星の大リーグ養成ギプスってあったでしょ? ああいうのをつけられて苦痛に歪みながら特訓を重ねる若妻がですね、「ああ!野球って気持ちいいの」って、ですね、(笑)そういう作品です。
鈴木 器具をつける系ですね。
荒木 そうです。こういうものに興味のある方は、池袋のシネマロサっていう映画館で上映しますので観てください。ということで(笑)。
鈴木 ちょっと観てみたい気もするなー。
荒木 そうでしょう!「野球どアホウ未亡人」。タイトルがそそります。
8月19日から公開でした。
鈴木 荒木さん、お盆で、面白い4本じゃないですか、映画観賞券ありがとうございます。
荒木 はい、また来週。聴いてください。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。