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映 画

「フロントライン」「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」「青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE」のとっておき情報
(2025年6月6日9:30)
映画評論家・荒木久文氏が「フロントライン」「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」「青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、6月9日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 3週連続案内していますが「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2025」今週フィナーレです。
アワードセレモニーということで6月11日 明後日、渋谷で各賞の受賞発表と表彰式セレモニーが行われます。審査員も豪華で上野樹里さん、岩井俊二さんとか、小田井涼平さんなどいっぱいです。翌年の米国アカデミー賞につながるライブアクション3部門、ノンフィクション部門、アニメーション部門を発表・授与を行うほか、映画祭最高賞のジョージルーカスアワードの発表・授与もあります。
鈴木 名前がついているって凄いですね。
荒木 このアワードセレモニーは何回も言っていますが、オンラインで観賞出来る「オンライングランドシアター」にでも配信されますのでどうぞホーム・ページに行ってみてください。
鈴木 一緒に見ること出来るんですね。
荒木 そうですね。 映画祭は一応これで終了ですが 引き続きこの「オンライングランドシアター」では6月30日まで作品配信を行っているんですよ。
鈴木 今月いっぱいあるじゃないですか。
荒木 そうそう。私もいくつかの作品見せてもらいましたけど、岩井俊二監督の「夏至物語完全版」とかホラー&サスペンスカテゴリーの「死に者狂い」とかですね、レインボープログラムってゲイものなんですけど、サッカーの「2人のキャプテン」というのも風変わりで面白かったですね。当然ながらどれも短くて見やすいんで、これからでも遅くないんで受賞作も見られるかもしれないので是非ご覧ください。
鈴木 どうして、その尺でできるんだろうなあ。
荒木 ねえ。「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2025」のお知らせでした。ところでダイちゃん!
鈴木 出た、出た!ところでダイちゃんコーナーですよ、それ(笑)。
荒木 去年から今年にかけてちょっといろいろ病気したよねー。すっかり元気になっているからいいようなものの…。
鈴木 感染症の嵐ですよ。
荒木 気をつけないとね、コロナにもなったよね?たしか。
鈴木 はい。私、かかっております、ありがとうございます。
荒木 私も去年の7月。メチャクチャ苦しかったです。
鈴木 俺も苦しかったです。コロナはやられました。
荒木 そのコロナですが日本に初めてコロナクラスターが発生したこと、覚えてますか?
鈴木 2020年1月で3月あたりが緊急事態宣言でしたよ。
荒木 そうでしたよ、覚えてますねえ。相変わらず記憶力いいねー、コロナになっても。
鈴木 はっきり覚えてますよ(笑)。
荒木 あの頃はまだ、未知のウィルスだったんですね。
鈴木 しかも、こんなに長くなると思わなかったもん。
荒木 横浜港についた豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」での集団感染のこと憶えていますよね。
鈴木 覚えてます。
荒木 これからご紹介するのは、この「ダイヤモンド・プリンセス号」での実話を基にこのコロナウイルスに最前線で立ち向かった、医療関係者たちの闘いを描いたドラマなんですよ。6月13日公開の「フロントライン」という作品。

鈴木 最前線と言う意味ですね。
荒木 2020年2月3日でしたね。乗客乗員3,711名を乗せた豪華客船が横浜港に入港します。この前に香港で下船した乗客1人の新型コロナウイルスの感染が確認されたんですね。
鈴木 そうでした。
荒木 その頃、船の中では100人以上の人々が発熱などの症状を訴えていました。どうなるかと思いましたよね。当時日本には地震などの場合の災害医療専門の医者や看護師などが所属する医療ボランティア「DMAT」という組織が存在したんですね。
だけどこれはあくまで災害向けです。大規模なウイルスやパンデミック対応をする専門組織がなかったんです。でも、仕方なくその「DMAT」が急遽、船に出動することになるんです。彼らは治療法不明のウイルスを相手に、自らの命を危険にさらしながらも船に乗り込み、治療に当たります。そして乗客全員を下船させるまであきらめずに闘い続けることになります・・というお話です。対策本部のDMAT指揮官は小栗旬さんです。
厚生労働省の役人に松坂桃李さん。他にも池松壮亮さんとか、窪塚洋介さん、森七菜ちゃんとか桜井ユキさんが出ています。この映画で描かれている医療スタッフ、厚生省の役人たちはこれまでメディアでは一切出なかったんですね。いわば影の人々です。その後も表に出なかったんでわからないんですけど、みんなが知っていたパンデミックの最前線にあった事実に基づく物語です。我々はもうどこに落ち着くのか知っていますから、冷静に見ていますけど、あの頃は訳分からないから怖かったですよ。
鈴木 怖ろしかったよ!意味がわからないことがこんなに怖いことかと。
荒木 相手がわからないって、そういう事なんですよね。
鈴木 見えないし、色ついてないしウィルスに。
荒木 パニック映画じゃないので、もちろんパニック的状況もあるんですが、むしろ淡々と進みます。ドキュメンタリーっぽいですね。患者のこともひとりひとりの持っているドラマをきちんと描いています。あの頃から始まったんですかね?医療関係者やその家族に対する言われなき差別や中傷、辛い目に遭った人もたくさんいましたよね。
そのあたりもちゃんと描いています。気になったのは監督の意向なのか、脚本家の気持ちなのかわかりませんが、既成マスコミに対する批判と不信感ですね。かなり強調してるんです。これはメディアに関わる一員としてはつらいですよね。当時はメディアも手探り状態で訳わかんなかったからね。
鈴木 訳わかんない。得体の知れないものだけど毎日報道しなきゃいけないじゃないですか。
荒木 仕方ないところもあると思うんですが、振返ってみれば批判されるべきところも沢山ありますからね。
鈴木 今から考えたらいっぱいあると思うんですよ。
荒木 今後もこう言った新しい病気、パンデミックって発生可能性は高いって言われています。だから今こそこういった映画で教訓化して、今後起こるかもしれない事態に備えなければと感じました。6月13日から公開の「フロントライン」という作品でした。
次の作品は映画会社の宣伝キャッチコピーが、「おばあちゃん版 ミッションインポッシブル始動」というもろ悪乗りのパクリですね(笑)。タイトルが「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」という公開中の作品です。

鈴木 あはははは。
荒木 オレオレ詐欺師に立ち向かう93歳のおばあちゃんの奮闘を描いたコメディドラマです。
93歳のテルマおばあちゃん。既に夫と死別して寂しいながらも気楽なひとり暮らしを送る毎日でした。可愛がっている孫が事故を起こし、刑務所にいるという連絡を受けます。
彼女は愛する孫を助けようとして、保釈金1万ドルを指定された口座に送金しますが、
それはご想像通りの詐欺のだったんですね。おばあちゃんたちは泣く泣くあきらめるのが普通なのですが、このテルマおばあちゃんは違います。犯人を突き止めお金を取り返すことを決意した彼女は、旧友の老人ベンを巻き込んで、電動スクーターに乗って大冒険に出かけるということなんですね。
鈴木 大丈夫?ベンさん、テルマさん。
荒木 トム・クルーズがバイクでぶっとばすのに対しこちらのテルマおばあちゃんは電動バイク。よく街角で見るでしょう?お年寄りが載っている歩道を時速2、3キロで走るやつですね。あれをぶっ飛ばすんですが当然スピードでないです。
そういう意味じゃちょっとのほほんとしたコメディなんですけど(笑)。
監督が自分のおばあちゃんの実体験をもとにして書いたらしいんです。実際に出演してるのはジューン・スキッブさんという、昔、アカデミー助演女優賞にノミネートされた名優です。実際に93歳です。ちょっと短めで99分です。
鈴木 いい尺じゃないですか、それ。
荒木 いい尺なんですよ。史上最高齢93歳で初主演はギネス級ですよね。
コメディですけど「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」、公開中です。
さて、最後は音楽映画です。
AGというと…ダイちゃん なんでしょう? エージェントじゃないですよ。元素記号だと銀ですね、物理の時間に習いました。
鈴木 アニマル、ガンガン行く?AG.
荒木 面白いね。そんなこと言ってる場合じゃないですが、今の音楽業界でAGと言ったら「新しい学校のリーダーズ」のことらしいですね。初めて知りました(笑)。
鈴木 ああ、なるほど!私も荒木さんのことばで今知りました。
荒木 この番組でも曲とかかかったりしますでしょ?
実はこの「新しい学校のリーダーズ」のコンサートツアーを描いたドキュメンタリー映画が先週から公開されているんですよ。
タイトルが「青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE」といいます。今年、結成10周年を迎えるんだそうですね。4人組ダンスボーカルユニット「新しい学校のリーダーズ」のライブ&ドキュメンタリー映画なんです。
今更、ご紹介もないんですけど、KANON、SUZUKA、MIZYU、RINの4人により結成。ユニークな存在で、国内外から熱い支持を集めてますね。

鈴木 ファン、多いですもんね。
荒木 昨年4月にアメリカ最大級の音楽フェスティバル「Coachella Valley Music and Arts Festival」、コーチャラ・フェスに出演して、その後のワールドツアーもやってるんですね。11月に日本凱旋ツアー。千秋楽が12月22日で国立代々木競技場第一体育館。このライブの模様が基本的に中心なんですけどね。
鈴木 なるほど。
荒木 会場の熱狂と興奮を大迫力で伝えています。さらにバックステージやインタビュー、ファンへのサプライズライブやメンバーの素顔なども見られてファンならずとも楽しめる音楽映画です。
鈴木 ファンは、10回は見なきゃ駄目だね。
荒木 そうですね。で、何故タイトルが猪なのかは猪突猛進にこの瞬間を生きること、それが青春だということから。青春日本代表とか靴下に書いてあるしね。
鈴木 なるほど。妙に納得しましたよ。
荒木 素晴らしい歌とダンス、キレキレですよね、あのパフォーマンス。
私も『オトナブルー』の首振りダンスで見たこともあったし、紅白歌合戦のトップバッターとか地上波の歌番組に出て1,2曲聞いたことがあるくらいで、セーラー服と上履き履いてるなあ、みたいな感じしかなかったんですけど、じっくり見ると凄いグループですよね。凄いアーティストですよ。ダンスの激しい事、キレの凄いこと見直しました。
真面目にライブに行ってみたいなと。この歳になってライブもないんですけど。
鈴木 なくないよ。
荒木 映画でも言ってましたよ。歳は関係ないと、青春は。
そういう熱の溢れた、臨場感の溢れたライブドキュメンタリーでした。
映画「青春イノシシ ATARASHII GAKKO! THE MOVIE」、現在公開中の音楽映画、音楽ドキュメンタリー紹介しました。
鈴木 ありがとうございます。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。