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映 画

「秘顔-ひがん-」「となりの宇宙人」のとっておき情報
(2025年6月29日10:15)
映画評論家・荒木久文氏が「秘顔-ひがん-」「となりの宇宙人」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、6月23日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 よろしくお願いします。
荒木 今日は2作品ご紹介ですが、共通点はちょっとエロっぽい。かな?
鈴木 今日は私の日ですね、これは・・。
荒木 ちょっと表現に気をつけないとね。最近の風評から言うと…。
鈴木 わかりました。
荒木 まずは韓国映画です。公開中、R18+のエロティック韓国スリラー「秘顔-ひがん-」って言います。

鈴木 R18ってかなりじゃないですか。
荒木 そうですね、秘密の顔と書いて「ヒガン」。19歳未満観賞禁止にも関わらず韓国では観客動員数100万人以上の観客動員数だそうです。いわゆる官能的で最後はドンデン返しという、韓国の得意技です。中身はひとりの男とふたりの女、3人のお話なんです。3人のうちのひとり目、男はソンジンさんと言います。このソンジンさんはイケメンのオーケストラの指揮者なんですよ。
鈴木 あー!モてそうだ。
荒木 そう(笑)。若くて格好良くて才能ありです。そして彼の婚約者、それがふたり目の女、スヨンさん。このスヨンさん、めちゃ気が強いお金持ちの美人お嬢様です。彼女はソンジンさんが指揮するオーケストラのチェロの奏者ですね。ところがその彼女が突然いなくなってしまいます。「あなたと過ごせて幸せだった」というビデオメッセージを残して姿を消してしまいます。
鈴木 いわゆる失踪ですか?
荒木 そうですね。指揮者のソンジンさんは大事なコンサートも結婚式も控えていたのに、動揺しちゃうんです。いなくなった理由もわからない。だから不安で押しつぶされそうになってます。そんな中、はい、もうひとりの女、3人目が登場します。
ミジュさんという、いなくなってしまったスヨンの代わりに彼のオーケストラに入ってきたチェリストなんですね。これがまた、スヨンとは違うタイプの美人さんなんですよー。
鈴木 ちょっとー。
荒木 ソンジンさんはどこか言葉にできない魅力に惹かれて、どんどんどんどん彼女に惹かれていってしまうんですね。
鈴木 危険、危険。
荒木 当然ですけどね。そうならないと面白くないですからね。そしてある夜、なんとよりによってスヨンが住んでいた部屋の、スヨンさんのベッドで、ソンジンさんとミジュさんは一線を越えてしまいます。超激しくね…。ところがその時、失踪したはずのスヨンさんがなんとふたりの激しい行為をある場所から見ていたんですよ。
鈴木 ある場所って、やめましょうよ。
荒木 覗いていたんですね(笑)。一体どういうこと?見ている?すぐそこで見ている?って、一体どういうことなんでしょうか?ということなんですけど、言えません。言いたいけど、言えません。ダイちゃんにも言えません。
鈴木 暗視カメラとか、ベッドの下とか。
荒木 ああー近いんですけど、ちょっと違うんですね。直接見てるんです。
それは、当然ネタバレになっちゃうんで見ないとわかりません!ということで。
鈴木 わかりました。もう聞きません。
荒木 で、先が読めないこの禁断のお話。ドロドロの三角関係、味付け超濃いですよ。コリアンテイストですね、辛くて甘くて酸っぱくて。あとで喉、乾きます。
鈴木 ああー!いいね!
荒木 騙し合いの心理戦でね、強い女性キャラクター、韓国テレビドラマとは比べ物にならないくらいの。円熟期に入っていると言われる韓国映画のエッセンスが全部突っ込んであるという感じですよ。ネーミングも韓国っぽいですね。「秘密の顔」と書いて「ひがん」。
女優さんですけど、行方不明になってしまうスヨンさんはチョン・ヨジョンさんという、あの「パラサイト 半地下の家族」のお金持ちの奥様。覚えてますか?
鈴木 あー!はいはい。
荒木 いかにも、強気でお金持ちそうですよね。ふたり目の女のちょっと儚い美人のミジュさんを演じるのはパク・ジヒョンさんといって、透明感があって可愛いですよー。あとでちょっと見てもらうとわかるんですけど、奥菜恵と新垣結衣を足して2つで割って、ちょっと広末涼子を振りかけたような…そんな感じです。
鈴木 もう最高じゃないですかー。
荒木 この人、脱ぎっぷりが凄いんですよ。ベッドの絡みが凄くて。可愛い顔にこのテクニック、この・・・と言うやつでその落差が凄いんです。身体細いのに出てるところはボン、ボン、ボンって感じでですね。
鈴木 夢中になっちゃう系ですね。
荒木 そうですねー。「みてくれ」と実際の落差が大きいほど、人は興奮しますからね。
鈴木 そうですよねー。
荒木 はい。で、ふたりの女に翻弄される若くてカッコいいソンジンさんは、クラシックの指揮者なのにね、やたらマッチョで身体がいいんですよ。
鈴木 (笑)。
荒木 演ずるのはソン・スンホンさんという役者さんなんですが、この人を見て、『情愛中毒』っていう映画を思い出しました。
鈴木 『情愛中毒』?
荒木 面白いタイトルですよね。この人、部下の奥さんと不倫してしまう軍人を演じていたんですね。ベッドシーンも凄かったです。よく見たら、監督が同じなんですね。今回の「秘顔-ひがん-」の監督はキム・デウさんという人。このふたりのベッドシーンコンビはすごいですよ。(笑)。ま、詩的に撮る人ですけど。だから綺麗に撮ってますね。
いやらしくもありきれいでもありというね。いやあ、ハラハラドキドキ、どこに到達するかわからないという説明できないんですが、ぜひスクリーンで観て納得していただきたいと思います。
鈴木 これ、スヨンさんが行方不明になったことは、事件となるんですか?
荒木 事件で、お母さんが捜索願を出すんです。
鈴木 じゃあ、表ざたになるんですね。
荒木 なるんです。みんなが噂するんです。いろんなことを噂するんですが…、さあ!意外に近いところにいたって話なんです。公開中。韓国エロチックスリラー「秘顔-ひがん―」という作品でした。
鈴木 これちょっと、私、マストですね。
荒木 ところでダイちゃん!今住んでいるお家ってのは、お隣さんとお付き合いはあるんですか?
鈴木 お付き合いはないですけどゴミ捨てに行く時に会うとか、それはあるじゃないですか(笑)。
荒木 その程度?隣は誰が住んでるとか、大体わかってるの?
鈴木 わかってますよ。どういう家族がいてお父さんはお母さんは、子どもはってのはわかりますよ。
荒木 そうですよね、なんか新しい人が入ってくると興味もあったりしますよね。
鈴木 あります、あります。
荒木 もしね、もし、お隣の部屋に人間じゃないもの、例えば宇宙人、エイリアンなんかが住んでいたとしたらどうでしょう?
鈴木 いや(笑)。どうでしょうもなにも、それ、どうなんですかね。
荒木 突飛なさ過ぎて答えようがないよね。タイトルが「となりの宇宙人」と言う映画です。

鈴木 あはははは。
荒木 6月27日、今週金曜日の公開です。
ストーリーです。東京下町のとあるぼろアパートに、宇宙船、UFOが墜落します。
鈴木 もうわかりました(笑)。
荒木 UFOといえば、でかいイメージですが、今回は人1人が入れるくらいの、まあ、超小型の緊急脱出艇みたいなもんですね。アパートの住人が集まると、その蓋が開いて中から出てきたのは、宇宙人なんですけども、姿は人のよさそうな中年の素っ裸のおっさんでした。
鈴木 最高じゃないですか、それ。
荒木 彼はどうやらアンドロメダ星雲から来た、1億8千年前から地球を監視している宇宙人らしいんです。
鈴木 正直、よくわかりません。(笑)
荒木 アパートの住人たちは彼を便宜上「宙さん」、宇宙から来た宇宙のチュウさんと呼ぶんですね。宙さんはアパートに暮らす若者、田所くんの部屋に住み着いてアパートの個性あふれる、ちょっとおかしな住人たちと、まるで疑似家族のように暮らし始めるわけなんです。そのアパートの住人たちの暮らしに関わって、仕事や生活の悩みを聞いたり、時には恋愛のおせっかいを焼いたりそんな日々を過ごしながら宇宙に帰る日を待っているという…。
鈴木 帰りたいんだね。
荒木 帰りたいんですよ。かぐや姫みたいにね。遭難しちゃったわけだからね。ほのぼのとした宇宙人コメディです。で、宇宙人の宙さん役には宇野祥平さん。
鈴木 宇野祥平さん、聞いたことあるな。
荒木 顔を見ればわかると思います。冴えない中年のおっさんです。でも助演男優賞などを受賞した、今や日本映画界に欠かすことのできない人です。監督は小関裕次郎さんというピンク映画出身の方なんですけど、そのせいか必要以上に絡みのシーンやエロいシーンが多いです。
鈴木 あららららー。
荒木 最後に地球に迎えに来る宇宙人は、全員がオールヌードの若い女性です。
鈴木 それ、意味ないじゃないですか。
荒木 意味ないです、ただ見せてるだけね。脚本は私も好きないまおかしんじ大先生です。原作は半村良さんの「隣の宇宙人」です。
これも私の好きな作家のひとりなんですけども。「石の血脈」という作品で「伝奇ロマン」とか「伝奇SF小説」と呼ばれるジャンルを開拓した人なんですよ。ひとことでいうとダークファンタジー・ホラー系ですかね。時代劇+SFみたいな感じ。この作風は後の作家たちに大きな影響を与えることになった人なんですね。最大のヒットはダイちゃんも知ってると思うんですけど、現代の自衛隊が戦国時代にタイムスリップしてしまうという『戦国自衛隊』。これを書いた人ですね。直木賞受賞していて、私がいちばん好きなのは江戸時代の男女が現代の日本にタイムスリップしてしまい、女性が人気歌手になっちゃうという、「およね平吉時穴の道行き」という小説があるんですが、これ、面白いですよ。映画の「侍タイムスリッパ―」はこの小説の影響を受けているんじゃないかと思います。
鈴木 ひとつの次元から別の次元に行くって、多いパターンですね。
荒木 そうなんです、タイムスリップものが多いんです。早く亡くなってしまって、生きていたらもっと面白い小説作ってくれたと思うんですけど。「となりの宇宙人」。小さい作品ですけど、とても生き生きしていて、笑っちゃうSFコメディです。
鈴木 俺も、宙さんと一緒に帰りたいなー。
荒木 帰りたい(笑)。どこへ帰りたい?ダイ金星? 原作が1970年代半ばに出版されたんですけど、この頃はUFOブームだったんですね。
鈴木 UFOとか超能力とか、ありましたもんね。終末論だとか。
荒木 テレビでもUFO呼んだりしていましたしね。イベントやってましたね。それで、ひとつの頂点が1977年発売のレコード大賞を取ったピンクレディ「UFO」ですね。
鈴木 UFO!かあ。
荒木 はい。
鈴木 じゃあ、これは「UFO」をおかけするっていう流れですね、もしかして。
荒木 ああ、そうかもしれませんね。
鈴木 そうしましょうよ。聴きたいですね、これ。ありがとうございます。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。