「RED ROOMS」「ピアノフォルテ」のとっておき情報

(2025年10月5日9:30)

映画評論家・荒木久文氏が「RED ROOMS」「ピアノフォルテ」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、9月29日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木      よろしくお願いします。

荒木      今日は9月の最終週ですね。まずは『RED ROOMS』という作品からご紹介します。

アラキンのムービー・ワンダーランド/「RED ROOMS」「ピアノフォルテ」のとっておき情報
「RED ROOMS」(©Nemesis Films)

鈴木      怖いやつですかね。

荒木      カナダ発のサイコスリラーです。連続殺人犯のルドヴィク・シュヴァリエという男、彼は金髪で青い目の少女たちだけを拉致、監禁、拷問して殺し、それを撮影したいわゆる「スナッフフィルム」と呼ばれる映像ですね。

鈴木      本当にあるんですかね? 世の中には。いろいろ言うけど。

荒木      これをディープウェブに配信して捕まったんですね。 一方、ファッションモデルとして有名なケリー=アンヌさんという美女.最近の彼女の日常は、この犯人ルドヴィク・シュヴァリエの裁判を傍聴することだったんです。 彼女は何の目的でその裁判に通っているのか…というお話なんですけど。見ていて最後までどっちに転ぶかわからないっていうのが本当の、予測不能の作品なんですよ。 どこへ連れてってもらえるのかっていう。

鈴木      メインは裁判なの?

荒木      ちょっとそこも言えないんだよね。

鈴木      ああ!言えない話ばっかね。

荒木      これから話すことで察してください。

鈴木      わかりました。

荒木      あんまりどうなるかは言えないんで。このケリーさんが終始無表情で最後まで本当に何考えてんのかわかんないんですよね。でも、だんだん見て行くとこの犯人に対して興味を持って惹かれているってことだけはわかる。ダイちゃんが言ったように、いろんなアイテムがこの映画登場するんです。まず「スナッフフィルム」ね。これは殺人を写したフィルムのことですよね。もうひとつは「ダークWEB」ね。 「ダークWEB」とは、通常の検索エンジンではインデックスされないような匿名性の高いインターネットですよね。

鈴木      結構あるようですよね。

荒木      最近、耳にしますよね、犯罪的な闇バイトとか・・・。覗けないことはないみたいですよ、キャリアのある人は。そしてタイトルにもなってる「赤い部屋」。レッドルームなんですけど、これは、このウェブの中に存在するその殺人ビデオなんかを見られるページです。 今説明したように、ダークウェブだとか。それに加えて不気味で恐ろしい人間、怖い人間しか出てこないっていうね。

鈴木      ちょっと明るい、なんかかわいいお子さんとか出てこないですか?

荒木      全くないですね。一言で言うとそんな恐ろしい映画なんですよ。

鈴木      これ全くない。はい。

荒木      でね この作品ね、大きく占めるのが犯人への興味と恋愛感情ということなんですよ。実はこの映画、主人公のケリー=アンヌさんの他にもですね、連続殺人犯に恋をしてしまう、犯罪者に特別な感情を抱いてしまう女性が出てくるんですね。 これ、「ハイブリストフィリア」というのだそうです。

鈴木      精神的な疾患なんですか?これ。

荒木      疾患なんですね。一種の性的倒錯らしいんですよ。よくわかんないけど。

鈴木      らしいんですよとしか、言いようがないね。

荒木      聞いたことありません? 有名な犯罪者、特に凶悪事件の犯罪者が刑務所でファンレターを受け取ることがあるらしいです。

鈴木      バンディとかもかなりモテたらしいですよ。

荒木      そうそう おっしゃる通りです。バンディね。例によく上がるんですけども、この人はセオドア・ロバート・バンディ。彼は30人もの女性を殺害したシリアルキラーなんですけど、頭が良くて、法廷では弁護士をつけずに弁護を行ったって言われています。収監中、女性から数百通のラブレターを受け取って、裁判中に結婚したと言われてますね。これ有名ですよね。

鈴木      魅力があったんだろうな。 荒木      こういう手紙を書く女性や、投獄されている男性を追いかける女性が、ハイブリットフィリアじゃないかというふうに言われてるんです。バンディの例をあげる他にもね、ダーマーって言う、「ミルウォーキーの食人鬼」と言われた。

鈴木      はい。

荒木      よく知ってますね(笑)。

鈴木      僕はね、意外にそういう系好きなんす、見てんですよ…結構。

荒木      そうですか、17人の青少年を殺害したとかね。それからラミレス、リチャード・ラミレスね。

鈴木      はいはい。

荒木      よく知ってるね、そういう不気味系。

鈴木      そういう不気味系、知ってるんです。僕は、結構。

荒木      日本でも、2001年に池田小学校の殺害事件。この犯人もファンがいて、そのうちのひとりと結婚してますよね。

鈴木      なんなんだろうな。

荒木      そんな話もあって、なぜ犯罪者が好きになるのかというと、何て言うんですかね、女性は攻撃的な男性を好むこともあるんですが、犯罪者の中に幼少期の彼氏を見つけるっていうんですよね。 それで彼を育てたいという一種の母性があると。それがこういうことを起こすんじゃないかと。それで、犯罪者を好きになる女の人の特徴は、30代から40代で自尊心の低い人。で、父親像があまりない人。男尊女卑の傾向が強い人とか、そういう人がなるらしいですね。

鈴木      女性なのに、男尊女卑の傾向が見られるの?

荒木      そうなんですよ。男性を偉いと崇める人ですよね。あんまりいませんね、今ね。

鈴木      あんまりいないけどな。なるほど。

荒木      そういう、ちょっとやばいアイテムがたくさん出てきます。映画の話とはずれてしまいましたね、そういう映画なんですよ。

鈴木      そういう映画なのね。

荒木      いやあもう、ダークウェブ、スナッフフィルムとか、ヒートアップした恋心?そういう意味で、珍しい映画であり、とても怖いです。

鈴木      このケリー=アンヌさんもブロンドで青い目なんですか、やっぱり。

荒木      そうですね?途中 ブロンドで青い目にするシーンがあるんです。

鈴木      うわー、怖い怖い。

荒木      怖いな…ということで『RED ROOMS』っていうね、狂気をはらんだ作品であることには間違いない。めちゃくちゃ怖かったですっていうことです。 ダイちゃん詳しいね。  ガラッと変わって、楽器は何をやりましたか?

鈴木      殺人者から楽器ですか,突然。

荒木      そうそう(笑)。

鈴木      楽器ね、僕ね、やってそうでやる寸前までいって何もやんないんだけど、たまにバンドに誘われて、ボーカルやりながらカスタネットやタンバリンを叩きまくって壊すっていうパフォーマンスやってました。

荒木      なるほどボーカルね。なんかそんな感じですよね。 ガラッと変わってクラシック音楽映画の話。昨日かな?世界的指揮者のコンクールで日本人優勝の放映がありましたね。今回はピアノなんですけど…世界に多くのピアノコンクールあるけど、これが一番と言っていいのだと思います?

鈴木      なんだ?ヤマハ音楽祭大賞じゃない。

荒木      ちょっと違いますね(笑)。「ショパン国際ピアノコンクール」です。 これが世界最古かつ最高峰と言われて、ブーニンだとかアルゲリッチだとか、このショパン国際ピアノコンクール出身ですよね。 今回紹介するのは、このコンクールに挑む若きピアニストたちに迫ったドキュメンタリーなんです。タイトルが『ピアノフォルテ』。先週から公開中なんですが。5年に一度、ショパンの生まれたポーランドのワルシャワで開催されている「ショパン国際ピアノコンクール」。これは出場できるだけで名誉なことで、入賞なんかすればその後の成功が約束されるということで、世界中の若いピアニストたちの目標です。 審査は1次から本戦まで第4回あるんですね。27日間かかるんです。

アラキンのムービー・ワンダーランド/「RED ROOMS」「ピアノフォルテ」のとっておき情報
「ピアノフォルテ」(©Pianoforte)(2025年9月26日より、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA 他全国公開中)

鈴木      ワールドカップとほぼ変わらない!

荒木      3週間にわたって100人近い参加者の中からだんだんだんだん振り落とされてくる、そういうやつなんです。

鈴木      バトルロイヤルみたいですね。

荒木      そうですね。今回は2021年の18回目のコンクールのドキュメントになるわけですね。その参加者のうち6人の国籍の違う出場者たちを中心に密着して記録してるんです。

鈴木      男女ともに?混合ですか?

荒木      混合です。とてつもない緊張に負けてしまう者もいれば、プレッシャーを楽しむような人もいるし、優しい先生と二人三脚で目指す者もいれば、厳しい指導者に押しつぶされそうになっちゃう人もいます。 見てる人は、彼らとともに舞台裏にいるような凄まじい臨場感を体験できますよ。 すごかったこれ。ピアノ好きはもちろんね、クラシックや音楽に興味のある人は見ていただきたいです。

鈴木      面白そうですね。

荒木      凄まじい緊張感ですね。この映画になっている18回大会では、反田恭平さんと小林愛実さんという2人の日本人が、それぞれ2位と4位に入賞を果たしてですね。

鈴木      すごいじゃないですか!

荒木      話題になりました。彼らはあんまり出てこないんです、6人が中心なんで。最後の方にちょっと出てくるんですけどね。

鈴木      2位なのに。

荒木      はい。初めから6人に焦点を当ててやってるんで、他の人はあんまり出てこないんですけど、最後は入賞したんで、おふたりの顔がちらっと見えます。日本人としてはもうちょっと見たいという気もあるんですけどね。

鈴木      チラチラ、チラ3つぐらい欲しいっすよね。 荒木さんってピアノやられてましたよね?もしかしたら。

荒木      あー、昔ね。小学校の時にね、2年生から5年生ぐらいまで。嫌で嫌で仕様がなくて、ボール蹴ったり投げたりした方がよかったよ。

鈴木      それ何?ご両親がやれよ、おまえ…ですか?

荒木      母親がね。

鈴木      うわー。

荒木      でもね、会社入ってからちょっとその辺りがよかったような気がします。音楽的なこと、多少理解できてね。でも4年間ぐらい習ったんじゃよくはわかんないんですけど、ピアノはいいもんですよ。もっとちゃんとやればよかったと思いますね。 ところで「ショパン国際ピアノコンクール」ですけど、今年 もうね、明後日10月3日から第一次審査始まるんですね。こちらも注目ですよね。反田さんが有名になったんで、今年も日本人の入賞者が出るといいと思います。

鈴木      本当そうですね。

荒木      ということでちょっと全くいつもとは違うんですが、ピアノ曲、聞いていただきたいと思います。

鈴木      じゃあ、少年時代にピアノを4年間やられていた荒木さん、ありがとうございました。

アラキンのムービー・ワンダーランド/「RED ROOMS」「ピアノフォルテ」のとっておき情報報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。

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