「おーい、応為」「グランドツアー」「劇場版 OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025」のとっておき情報

(2025年10月20日9:30)

映画評論家・荒木久文氏が「おーい、応為」「グランドツアー」「劇場版 OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、10月13日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木      今日はスポーツの日。昔は体育の日とか言ってた世代の荒木さん!よろしくお願いします。

荒木      オリンピック、前の東京大会世代です。

鈴木      1964年?

荒木      テレビで見てました。 今日は、その話じゃなくて美術の話をします。月並みですけど。これまでも絵画や絵に関するものや画家にまつわる作品をいくつかご紹介してきましたが、 大画伯と呼ばれるダイちゃんね、絵が大得意ですけども(笑)。

鈴木      やめて!そういう…。本当にもう。鳥を書いたら魚って言われたPTSDになりそうになった子供時代ですから。

荒木      なるほどね(笑)。その分音楽好きだからね…。 昔の日本の絵師とか画家というと、誰を思い出しますか?

鈴木      葛飾北斎とか。

荒木      そうですね。

鈴木      北斎はやっぱ一番有名ですよね。

アラキンのムービー・ワンダーランド/「おーい、応為」「グランドツアー」「劇場版 OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025」のとっておき情報
「おーい、応為」(10月17日(金)全国ロードショー)(©️2025「おーい、応為」製作委員会)(配給: 東京テアトル、ヨアケ)

荒木      歌麿、広重……美術の教科書にも出てきますけどね。 今回の映画は葛飾応為(かつしかおうい)という絵師がモデルです。 多分、よほど美術に詳しい人でないと名前が出てこないでしょう。知らないでしょうね。 この葛飾応為という人は江戸時代の絵師です。葛飾北斎の娘で弟子、女性絵師なんですね。10月17日公開の映画のタイトルが『おーい、応為』。半分ダジャレです(笑)。 この映画は、江戸時代を代表する女性浮世絵師だった葛飾応為の人生を描くもので、主演は長澤まさみさんです。
  ストーリーです。浮世絵師・葛飾北斎の娘であるお栄さん、これが本名なんです。 彼女は絵師に嫁入りするんですが、夫の絵をかっこばかりと見下し、けなしたことが原因で離縁され北斎のもとに出戻ってきます。 その後 お栄は父と娘として、そして師匠と弟子として北斎と生涯を共にすることになるんです。このお栄さんという人は当時、女性の常識だった針仕事だとかお茶を入れることとかろくに出来ないんですけども、絵の才能だけは父親譲りというか、時には父を上回るいわば天才だったんです。 日頃は父親の助手を務めて、父の北斎からは「おーい、筆!」「おーい、飯!」と言われたことから、本名と別に芸術家の名称として呼ばれる「応為(おうい)」という号を授かります。

鈴木      300年前にもそんなシャレがあったんだね(笑)。

荒木      あったんだね、ちゃんと。なんか適当で面白いですけどね。 そしてお栄さんは当時としては非常に珍しい女性の浮世絵師として、絵を描くことに生涯を捧げたんです。この葛飾応為の生涯を描いた作品です。 応為役は長澤まさみさん。父親北斎は永瀬正敏さんです。

鈴木      あの雰囲気が、なるほどなるほど。

荒木      わかるでしょ。

鈴木      わかる、わかる。

荒木      今回の応為については、北斎の三女であるということはわかっているんですが、現存する資料が極端に少ないんですよ。だから実像は未だベールに包まれていると言っていいんです。物の本によると外見は、背が高くて、どっちかって言うと四角い顔。性格は父親に似て大胆不敵で男のような気質。服装は任侠風で映画の中でも格好は男のやくざ風で着流しみたいな感じ。短気で気が強くて煙草を手から離さないという女豪快ですよね。
ところが、絵の方は緻密で大胆な線を描き、北斎は「美人画にかけては応為には敵わない。」と言ったと伝わります。それから、春画、わかりますよね? エッチな絵ですよ。 北斎もこの春画を描いたことは知られていますが、この春画においても応為は彩色を、色を塗ることを担当したと言われています。父と娘で春画を描くというのもちょっと恐ろしい図ですが(笑)。

鈴木      なかなか淫靡な感じですね。

荒木      そして、応為の現存する作品は十数点しかないんですって。彼女の作品は版画ではなくて肉筆画、つまり一点ものが多く残っていて、彩色が非常に若々しく、本当に細かい描写に優れたらしいですよ。70歳まで生きたとされてるんですが、それにしても作品数が少なすぎることから、多分、北斎との共作が相当数あるんじゃないかと・・・。 現にね、北斎が80歳を過ぎてから描いたとされる肉筆画には、色彩がとっても若々しくて、もう細かい細かい描写が、しばしば見られるものがあるそうなんですよ。

鈴木      それは応為が描いたものですね。

荒木      多分 爺ちゃんの絵じゃないよね。爺ちゃん、震えちゃって細かい線描けないよね。

鈴木      いや本当!それは応為ちゃんです。

荒木      監督は大森立嗣さん。もう長澤まさみさんの演技は素晴らしいです。 特に目の演技。元々目力強い人ですから。絵を描く時に凄いです。 江戸時代、何でも男性中心の中で、女性は結婚して子供を産むしかなかった時代ですよね。その中で自分のやりたいこと、才能を生かす環境に恵まれたってことはあるんですけど、そういう生き方をした女性がいたということ。 2時間を超す映画ですが、会話劇でもあり、ある意味、美術映画でもあります。

鈴木      あっという間?

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「グランドツアー」(© 2024 – Uma Pedra No Sapato – Vivo film – Shellac Sud – Cinéma Defacto)(配給:ミモザフィルムズ)(10月10日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開)

荒木      あっという間。2人の演技がとっても見ごたえがあります。 骨太のいい作品ですので、『おーい、応為』は間違いなくお薦めの1本です。
次は、去年のカンヌでコンペティション部門の監督賞を受賞した作品です。『グランドツアー』という現在公開中です。一言で言うと「グランドツアー」というタイトルの通り、アジア横断する旅の話なんです。
一応ストーリーを紹介しますね。1918年です。場所はビルマのラグーン。 イギリス人の公務員のエドワードさんは、ロンドンから来る婚約者のモリーさんを迎え結婚することになっていました。 しかし、彼らが婚約したのは7年前。エドワードは正直、ほぼほぼモリーさんの顔も忘れかけています。彼は花婿衣装で花束を抱え、港で彼女を待っていたのですが、結婚することに迷いが生じて彼は、モリーの到着直前に別の船に乗ってどっかへ行ってしまいます。 つまり婚約者のモリーから逃げ出すわけです。そして、彼を追いかけるモリーとのアジア大陸を舞台にした壮大な鬼ごっごが始まります。 あのね、はっきり言って曲者映画です。

鈴木      何それ?曲者映画って。

荒木      見る人はね、それなりの覚悟が必要かも。でもね、見応えあるんですよ。

鈴木      どういうこと?

荒木      説明してもいいんですけど、映画はモノクロで始まり、いつの間にかカラーになったと思ったら、時間軸がぐるぐる変わって、夢と現実が入り混じって、未来に行ったり過去に行ったり、ポルトガル語で始まってタイ語、日本語まで。

鈴木      えー!?

荒木      正直、例えばダイちゃんみたいな人はどうなのかな。 論理的に物を捉えたり、一貫性とか起承転結はっきりさせなくては気が済まない人ですよね?比較的。

鈴木      僕ね、意外にそうですね。

荒木      こういう作品はですね、ちょっと自分を映画に合わせるというか、身を委ねるという覚悟で見ないと、そういう鑑賞態度じゃないと辛いかもしれないです。 オリエンタルな迷宮に巻き込まれるっていう感じ。これが心地いいかもしれませんね。 そういう意味で言うと、とっても面白い。正直、上級者向けって、映画にそれがあればの話しですけど、そういうものです。

鈴木      これ何ですか?サスペンスなんですか?

荒木      それとも言えないんだよね。グランド…っていうかね、昔のアジアがいっぱい出て来て、ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、中国、日本、7カ国でロケしてですね、複雑なんですよ。だから、ちょっと不思議な体験できるかもということですね。ちょっと何を説明してるのか、私もよくわかりませんが(笑)。

鈴木      何を聞いてるのか、私も全然わかりません。

荒木      とにかく見てください。『グランドツアー』現在公開中です。

鈴木      とにかく行ってみろという事ね(笑)。

荒木      そうですね(笑)。それが一番、百聞は一見に・・ですよ。  最後に、先月音楽関連作品を紹介しましたけど、私の知り合いからも、もっと続けてと。 「お前の喋りより曲聞いた方がいいから」という、なんか悲しいリクエストがありまして延長戦やろうかと思います。
今日は、10月17日公開の『劇場版 OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025』というドキュメンタリー映画です。言うまでもなく、「Official髭男dism」の初のスタジアムツアーです。今年、大阪から始まって日産スタジアムまでの公演を含む4公演、25万人動員したんですってね。

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「劇場版 OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025」

鈴木      ずっと追ってるってこと?それを。

荒木      そう。その模様がもう映画なっちゃったんですよ。

鈴木      早いな。

荒木      メンバー4人が作り出すダイナミックなサウンド。そういうものを、ピシッと密着して収録しています。

鈴木      FMFUJIもお馴染みですからね。髭男は。

荒木      そうですよね、楢﨑さんの。

鈴木      曲も皆さん好きですからね。

荒木      「ロヂウラベース」ね。

鈴木      そうですね。よく知ってるね!荒木さん。

荒木      ちろんも!今日、夜ですよね。

鈴木      そうです今夜。

荒木      生でやってるみたいですね。

鈴木      荒木さん、もしかして追っかけですか?

荒木      ファンだから(笑)。音楽映画のご紹介は「Official髭男dism」のライブのドキュメンタリー映画です。17日から公開になります。

鈴木      なんか今日は3本お話してもらってるけど、1本目「葛飾応為」の次、「グランドツアー」、3本目だけだよ。はっきりわかったの内容。

荒木      はい(笑)。わかんないことがね、好奇心の芽生えですから(笑)。是非見に行ってください。

鈴木      ありがとうございます。

アラキンのムービー・ワンダーランド/「おーい、応為」「グランドツアー」「劇場版 OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025」のとっておき情報報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊧と鈴木氏)

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。

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